【トップ100・グローバル・チャート】今週のピックアップ(06/23付)、Lil Nas X / Drake, Rick Ross / Octavian, Theophilus London / black midi

毎日更新されるTYPICAオリジナル楽曲チャート。チャートにランクインされた楽曲のなかから、特に注目の楽曲をまとめてピックアップします。



Lil Nas X / Panini

2019年上半期最大のヒットを記録している米ジョージア州アトランタ出身のラッパー、Lil Nas X(リル・ナズ・エックス)。06/21(Fri)にリリースされた待望のデビュー・EP『7』からのリード・シングルが、チャートにランクインされました。

2018年に公開されたカントリー・ラップ「Old Town Road」が、ショート音楽動画アプリ「TikTok」の「Yeehaw Challenge」でミームとなりバイラル・ヒットを記録。その後、Billboardによるカントリー・チャート除外騒動によって全米全体を巻き込む社会現象へと発展。その後、全米シングル・チャート10週連続1位を記録し(06/08時点)、Billy Ray Cyrus(ビリー・レイ・サイラス)、Diplo(ディプロ)が参加したリミックスもリリース。オハイオ州クリーブランドのランダー小学校で行ったサプライズ訪問が世界的にバズるなど、新人ラッパーとしては異例の活躍が続いています。

デビュー・EP『7』には「Old Town Road」のリミックスならびにオリジナルのほか、Cardi B(カーディ・B)が参加した「Rodeo」などを含めた全8曲が収録。なかでも「Panini」では、Nirvana(ニルヴァーナ)のKurt Cobain(カート・コバーン)がクレジットされており、名作アルバム『Nevermind』の収録曲「In Bloom」のサビがサンプリングされています。

そんななか、Beats 1(Apple Music)の看板DJ・Zane Lowe(ゼイン・ロウ)の番組に出演した際に、制作時点ではNirvanaの曲をあまり聴いたことがなかったことを説明。全く意図せずに「In Bloom」のサビと同じメロディーを使用していたことを語っており、当初からNirvanaを意識したわけではないとのことです。近未来的なSF風のMVも公開されており、あわせてぜひチェックを。



Drake / Money In The Grave (ft. Rick Ross)

カナダ・トロント出身のラッパー、Drake(ドレイク)。06/14(Fri)にリリースされた注目のニュー・シングルが、チャートにランクインされました。

今回のニュー・シングルは、カナダ・トロントを本拠地とするNBAチーム「ラプターズ」が、NBA年間王者を決定するファイナルで初優勝したことを記念してリリースされたもの。かねてから大のバスケ・フリークとして知られるDrakeですが、2013年から地元の同チームのグローバル・アンバサダーを担当。多くの試合を観戦するも、たびたびマナー違反を指摘されるほど熱中しすぎる姿も話題となっていました(なお、今回の一戦はコート出禁だったとのこと)。

優勝翌日にリリースされた「The Best In The World Pack」ですが、シングル「Omerta」「Money In The Grave」が収録された2曲入り。なかでも、Rick Ross(リック・ロス)をフィーチャーした「Money In The Grave」では、本楽曲がプロデューサー・デビューとなったモデル、Lil CC(リル・CC)が担当。「墓の中の金」というタイトルの通り、死後の世界にも稼いだ金を持っていくために棺桶のなかに金を入れるよう知人に指示するリリックが書かれています。

一方「Omerta」というタイトルは、どんなことが起きても組織の内部事情について口を割らないという暗黙の了解を指しており、これまでの楽曲で自身のことを「マフィア」と例えていることに由来している模様です。あわせてぜひチェックを。



Octavian / Feel It (feat. Theophilus London)

フランス・リール出身、サウスロンドン・キャンバーウェル育ちのラッパー、Octavian(オクタビアン)。06/13(Thu)にリリースされた待望のミックステープ『Endorphins』からのリード・シングルが、チャートにランクインされました。

オリジナルとしては、2018年にリリースされたミックステープ『Spaceman』以来となる、およそ9ヶ月ぶりの新作に。​Mura Masa(ムラ・マサ)「Move Me」や、Diplo(ディプロ)「New Shapes」にフィーチャーされ、BBCによる新人企画「Sound of 2019」で優勝を果たすなど、さらなる注目が集めるなかでのリリースとなりました。

ゲストには、Smokepurpp(スモークパープ)、Skepta(スケプタ)、Jessie Ware(ジェシー・ウェア)、A$AP Ferg(エイサップ・ファーグ)などが参加しており、リード・シングル「Bet」「Lit」や、SBTRKT(サブトラクト)「Walking Alone」カバーを含む全12曲が収録。なかでも、Theophilus London(セオフィラス・ロンドン)をフィーチャーした本楽曲「Feel It」では、スムース&メロウなダンス・トラックとなっており、これからの季節にぴったりな夏のバイブスを感じさせる1曲となっています。

またMVは、今作の制作風景やライブ映像などが含まれたロード・ムービー風の映像が展開されており、周囲の仲間とともに普段の日々を楽しむ様子が伺えます。あわせてぜひチェックを。



black midi / Schlagenheim

ロンドン出身、現在最も刺激的なバンドとして注目を集めている、Black M
idi(ブラック・ミディ)。06/21(Fri)に待望のデビュー・アルバム『Schlagenheim』がリリースされました。

2018年に結成され、メンバーは、ジョーディ・グリープ(Vo, Gt)、キャメロン・ピクトン(Ba, Vo)、マット・ケルヴィン(Gt)、モーガン・シンプソン(Dr)という、ロンドン名門「ブリット・スクール」出身の4人で構成。インタビューによれば、放課後に行われたジャム・セッションや、ザ・ウィンドミルでのギグを通じて注目が高まり、ダモ鈴木(カン)との即興パフォーマンスも披露。各地のゲリラ・ライブを通じて変幻自在のセットリストや演奏力に定評が集まり、SXSW出演、北米ツアー、NY公演などを敢行。2019年に入り、EP『Speedway』ならびにシングル「Crow’s Perch」「Talking Heads」のリリースを経て、待望のデビュー・アルバム『Schlagenheim』が公開されました。

デビュー・アルバムには、昨年リリースされたシングル「bmbmbm」や、MVも公開されている「ducter」を含む全9曲が収録。メンバーそれぞれの潜在意識から発せられた即興演奏をベースに、おびただしいリフの応酬がスリリングに展開。ポスト・ロック、ノイズ、サイケデリック、パンクなどを縦横無尽に咀嚼したフレーズから、従来の曲構造、旋律の呪縛から解き放たれたかのような、まるで本作のアートワークのような歪な構造美を感じさせます。

そして今年9月には、バンド初来日となる注目の東名阪ツアーが決定。売り切れ必至となることが予想されるため、チケット予約はお早めに。


以上、今週のピックアップでした。

Text by Ishikawa Takato
Link:TYPICA TOP100(グローバル)