【トップ100・チャート】今週のピックアップ(05/10付)、Kehlani / KOHH / Tom Misch, Yussef Dayes / Opus Inn

毎日更新されるTYPICAオリジナル楽曲チャート。チャートにランクインされた楽曲のなかから、特に注目の楽曲をまとめてピックアップします。



Kehlani / Can I (feat. Tory Lanez)

米カリフォルニア州オークランド出身のシンガーソングライター / プロデューサー、Kehlani(ケラーニ)。05/08(Fri)にリリースされた待望のニュー・アルバム『It Was Good Until It Wasn’t』の収録曲が、チャートにランクインされました。

オリジナルとしては、2019年にリリースされた3rdミックステープ『While We Wait』に次ぐ、およそ1年2ヶ月ぶりの新作に。同年には、EARTHGANG(アースギャング)、Arin Ray(アリン・レイ)、Zedd(ゼッド)、Teyana Taylor(テヤナ・テイラー)などの楽曲にフィーチャーされたほか、今年に入ってリリースされた、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)、Megan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)のアルバムおよびEPに参加。またプライベートでは、2019年3月に産前のマタニティブルーを経て第一子となる女児を無事出産。同年9月ごろより、YG(ワイジー)との交際が取り沙汰され、今年のバレンタインデーには両者によるコラボ・シングル「Konclusions」がリリースされるも、その後に公開したシングル「Valentine’s Day(Shameful)」で破局を明かしたことでも話題となりました。

本ニュー・アルバム『It Was Good Until It Wasn’t』は、リード・シングル「Toxic」「Everybody Business」「F&MU」を含む全15曲が収録されており、ゲストに、Tory Lanez(トーリー・レインズ)、Jhené Aiko(ジェネイ・アイコ)、Masego(マセーゴ)、Lucky Daye(ラッキー・ダイエ)、James Blake(ジェイムス・ブレイク)などをフィーチャー。Apple Music内のラジオ番組で放送されたインタビューによれば、アルバム・タイトル「It Was Good Until It Wasn’t」は、Boi-1da(ボーイ・ワンダ)と行ったトロントでのレコーディング作業のあと、Drake(ドレイク)の自宅で交わした会話がきっかけになった模様。自身の生活について話していたときに、Kehlani(ケラーニ)が発した「it was good until it wasn’t(そうじゃなくなるまでは、いい感じだったんだけどね)に、Drake(ドレイク)から「それって君のアルバムだよね」と言われことを明かしており、本ニュー・アルバムのコンセプトを要約しているフレーズだと感じたことから、現在のタイトルになったとのことです。

また本人のツイートによれば、ジャケット・アートワークは自宅の裏庭で撮影されたことを明かしており、ジャケットの裏表紙で描かれている様子とあわせて、善と悪の二元性を描写しているとのこと。視点の物語であるとして「太陽は輝いていて、空は青いのに、何か気になっている。隣の芝生は本当に青いのか?と疑問に思うの。良かったことは、そうではなくなるまでは良かったことだったけど、それって本当にそうだった?と。」とコメントしています。未聴のリスナーは自宅でぜひチェックを。



KOHH / Sappy

東京都北区王子出身のアーティスト、KOHH。04/29(Wed)にリリースされた、引退前最後とされるラスト・アルバム『worst』の収録曲が、チャートにランクインされました。

2012年にリリースしたミックステープ『YELLOW T△PE』でデビューし、現在まで4本の『YELLOW T△PE』シリーズと、今作を含めた合計6枚のアルバムを発表。2008年ごろからクリエイティブ・ディレクター・高橋良(318)と活動を共にし、自らの複雑な家庭環境や想いの丈を日記のように綴ったリリック、自由度の高いフロウなど、キャリア初期から音楽性に対するアーティスティックな姿勢を追求していくように。ヒット・シングル「JUNJI TAKADA」(2013年)、2ndアルバム『MONOCHROME』(2014年)、1stアルバム『梔子』(2015年)などをリリースし、Keith Ape(キース・エイプ)「IT G Ma (feat. JayAllday, Loota, Okasian, KOHH)」(2015年)への客演参加をきっかけに、海外からの注目が一気に集まることに。

以降は、ヨーロッパやアメリカでの活動が続き、多くのアーティストと精力的にレコーディングを実行。Loota、ANARCHY、般若、5lack、TeddyLoid、宇多田ヒカル、Frank Ocean(フランク・オーシャン)、Mariah Carey(マライア・キャリー)、Higher Brothers(ハイヤー・ブラザーズ )、CA$HPASSION(キャッシュパッション)、Xavier Wulf(ザビエル・ヴルフ)などを含む、多くのコラボ楽曲を発表してきました。独自の存在感を印象付けた、3rdアルバム『DIRT』(2015年)、4thアルバム『DIRT Ⅱ』(2016年)、そして前作の5thアルバム『Untitled』とリリースを重ねていき、ひとたびステージに上がれば、地元の友人を交えたパフォーマンスや趣向を凝らした演出で客席を沸かすなど、テン年代を象徴するアーティストとして、常に予測不能な動きを見せてきました。

本ラスト・アルバム『worst』には、すでに公開されているシングル「I Think I’m Falling」や、今年1月に渋谷で開催されたワンマン・ライブ『KOHH Live in Concert』で読み上げられた「手紙」を含む、全15曲が収録。アルバムのクレジットには、Takeshi Gunji(Mony Horse)、Domino(Lil KOHH)の客演のほか、プロデューサーには、理貴、Jigg、MURASAKI BEATZ、Dax Money、YUNG XANSEI、Gacha Medz、に加えて、Mally the Martian(マリー・ザ・マーシャン)、Skrillex(スクリレックス)などが参加。演奏には、志磨遼平(ドレスコーズ)、Chassol(シャソール)が関わっており、NHK総合で先日放送された「シブヤノオト Presents KOHH Document」では、沖縄で行なった志磨とのレコーディング風景が映し出されていました。

そして、本作のコンプリートボックスには、前述したワンマン・ライブ『KOHH Live in Concert』の模様をコンパイルしたブルーレイが同封されており、バンドセット、ライゾマティクスが映像演出を手がけたDJセット、総勢24名の弦楽器奏者が参加したストリングセットを含む3部構成のパフォーマンスが収録されています。さらに自身のメンバーズ・サイト「王子復興財団」で、2015年からこれまでに開催したワンマン公演、海外公演、イベントなどのレアなライブ映像を中心に収めた特番『KOHH 王子復興財団SPECIAL PROGRAM』が限定放送されており、2021年2月末まで合計15本の映像が順次公開される予定になっています。自宅であわせてぜひチェックを。



Tom Misch, Yussef Dayes / Last 100

サウス・イースト・ロンドン出身のマルチプレイヤー / プロデューサー、Tom Misch(トム・ミッシュ)と、ジャズ・ドラマー、Yussef Dayes(ユセフ・デイズ)による注目のコラボが実現。04/24(Fri)にリリースされたジョイント・アルバム『What Kinda Music』の収録曲が、チャートにランクインされました。

10代のころから音楽制作を始め、ジャズ、ソウル、ヒップホップ、ディスコなどをクロスオーバーさせた洒脱なサウンドで人気を博している、Tom Misch(トム・ミッシュ)。ミックステープ『Beat Tape』シリーズや、EP『Reverie』(2016年)、『5 Day Mischon』(2017年)などを経てリリースされた、デビュー・アルバム『Geography』が世界的な高評価を受け、サウス・ロンドン・シーンを代表する存在の1人に。さまざまなコラボ楽曲を発表するなか、2019年にリリースされたEP、星野源『Same Thing』の収録曲「Ain’t Nobody Know」を共同プロデュースするなど、日本での人気も高いことでも知られています。

一方、サウス・ロンドンのジャズ・シーンで同じく注目を集め、United Vibrations(ユナイテッド・ヴァイブレーションズ)、Yussef Kamaal(ユセフ・カマール)での活動でも知られるドラマー、Yussef Dayes(ユセフ・デイズ)。ジャズ、ファンク、ヒップホップのビート感覚だけでなく、ダブステップ、グライム、ひいてはレゲエ、ダブなど、あらゆるリズムを独自のブレンドで叩くドラマーとして、Alfa Mist(アルファ・ミスト)、Swindle(スウィンドル)、Loyle Carner(ロイル・カーナー)などとも共演。また、自身のシングル「Love Is The Message」(2018年)、「Duality」(2019年)もリリースするなど、シーンの旗手を担うドラマーとしての活躍が続いてます。

本アルバム『What Kinda Music』は、リード・シングル「What Kinda Music」「Lift Off」「Kyiv」「Nightrider」を含む全12曲が収録されており、ゲストに、Freddie Gibbs(フレディ・ギブス)、Rocco Palladino(ロッコ・パラディーノ)、Kaidi Akinnibi(カイディ・アキニビ)などをフィーチャー。音楽評論家・柳樂光隆(Jazz The New Chapter)による両者へのインタビューによれば、Tom Misch(トム・ミッシュ)が当時10歳のころに地元の学校で行われていたタレント・ショーで、Yussef Dayes(ユセフ・デイズ)のドラムを実際に見ていたというエピソードもあり、長期間を経てデビュー・アルバム『Geography』のローンチ・パーティーで、初めて知り合ったとのこと。2018年に英イーストボーンのスタジオへ入り、実験的なジャム・セッションを重ねたところアイディアが一気に溢れ、当初はジョイント・テープのつもりだったものの、さまざまな共同作業を経て本アルバムが完成した模様です。

そしてリリース当日から、今回のメイキングの背景に迫った短編ドキュメンタリー映像「What Kinda Music – Documentary」が配信されているほか、収録曲「Lift Off」「Kyiv」のライブ映像ならびに、MV「What Kinda Music」「Nightrider」が公開されています。未聴のリスナーは自宅であわせてぜひチェックを。



Opus Inn / Alone

神戸出身のミュージシャン、KAME(Vo, Producer)によるソロ・プロジェクト、Opus Inn。04/29(Wed)にリリースされた注目のニュー・シングルが、チャートにランクインされました。

活動当初は、永田誠(Gt)との2人組ユニットとして、2016年より活動開始。プロジェクト名は、山下達郎のステージセットに設置されたモーテルの看板に書かれていたフレーズ「Opus Inn」に由来しており、エレクトロニカ、フューチャー・ソウル、ヒップホップなどを取り入れた、洗練されたサウンドを特色としています。2017年よりSoundCloudを通じて楽曲をアップし、サポートメンバーを含めたバンド編成でのライブ活動を開始。2018年には1st EP『Time Gone By』ならびに、2nd EP『Time Rolls On』をリリースし、アナログ・レコードでも発表されるなど各所で話題に。2019年に入って3rd EP『Time Stand Still』をリリースしたほか、同年に上映された二宮健・監督作「チワワちゃん」の一部劇中歌を担当。Shin Sakiura、MALIYA、KEIJU、IO、向井太一、N.U.D.E(DJ EMMA & DJ SHIMOYAMA)、おかもとえみ、橋本優紀の作品に楽曲提供およびフィーチャーされるなど、幅広い活躍が続いています。

本ニュー・シングル「Alone」は、ソロ・プロジェクトとして活動再開してから初の新作に。これまでの楽曲の世界観をさらにスケールアップさせたようなシンセ・バラードとなっており、宇宙空間を漂うかのようなリリックビデオもリリース当日から公開。コズミック感のあるシンセと内省的なボーカルの共鳴が、メロウで陶酔感のあるサウンドスケープを生み出しており、人生の新たな再出発が語られた英語詞も相まって、それぞれの孤独に寄り添うようなドリーミーなサウンドが展開されています。

加えて前述したリリック・ビデオは、これまでの作品のアートワーク、MV、ライブVJなどのデザインを手がけてきた、Issei Matsudaが引き続き担当。未聴のリスナーは自宅でぜひチェックを。


以上、今週のピックアップでした。

Text by Ishikawa Takato

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