【トップ100・チャート】今週のピックアップ(05/24付)、The 1975 / 藤井 風 / Moses Sumney / TAMTAM

毎日更新されるTYPICAオリジナル楽曲チャート。チャートにランクインされた楽曲のなかから、特に注目の楽曲をまとめてピックアップします。



The 1975 / Guys

英マンチェスターを拠点に活動しているロック・バンド、The 1975。05/22(Fri)にリリースされた待望のニュー・アルバム『Notes On A Conditional Form』(以後『NOACF』)の収録曲が、チャートにランクインされました。

2018年11月にリリースされた3rdアルバム『A Brief Inquiry Into Online Relationships』(以後『ABIIOR』)に次ぐ、およそ1年半ぶりの新作となった本ニュー・アルバム『NOACF』。フロントマン・Matty Healy(マシュー・ヒーリー)によれば、2017年から続くバンドの一時代を「Music For Cars」(2013年にリリースした同名EPのタイトルをセルフ引用)と称しており、前作『ABIIOR』と同時期にレコーディングされた、もう1つのニュー・アルバムとされています(前作『ABIIOR』のフォローアップではなく、あくまで「Music For Cars」という一時代を構成するアルバムの模様)。

2017年の時点では『Music For Cars』というタイトルでアルバム・リリースすることや、前身バンド「Drive Like I Do」名義のデビュー・アルバムを発表することも仄めかしていたなか、2018年7月当時のツイートで、2枚のニュー・アルバム(『ABIIOR』と『NOACF』)をロサンゼルスで制作していることをコメント。前者のリリース後もレコーディングを続け、今年にかけて合計8曲のリード・シングルをリリースしており、なかでもスウェーデン出身の環境活動家、グレタ・トゥーンベリのスピーチをフィーチャーした「The 1975」や、Marilyn Manson(マリリン・マンソン)へのオマージュとされる「People」などが話題に。インダストリアル・ロック、UKガラージ、アンビエント、フォーク、シューゲイズなど、多様な音楽性を持つリード・シングルによって『NOACF』の全貌への関心が高まるなか、2度のアルバム・リリース延期を経て、いよいよ公開されました。

本ニュー・アルバム『NOACF』のテーマについて、2018年時点のインタビューで、メンバー同士のルーツでもある「ハッパを吸いながら車(プジョー・206)を運転して、Burial(ブリアル)やUKガラージを流しながら、マクドナルドに向かってM25モータウェイをドライブする」というイギリスのナイトカルチャーからの影響を明かしており、Apple Musicのライナーノーツによれば「とことん自分を見つめ直した究極の自分中心のアルバム」(一部抜粋)であることをコメント。ゲストボーカルに、FKA twigs(FKAツイッグス)、Phoebe Bridgers(フィービー・ブリジャーズ)、Cutty Ranks(カッティ・ランクス)などが参加しているほか、Matty Healy(マシュー・ヒーリー)の実父で俳優・Tim Healy(ティム・ヒーリー)が、約30年前(1989年~1990年)に書いたという原曲を再解釈した収録曲「Don’t Worry」では、2人のボーカルが全編に渡って展開されています。

収録曲ラスト「Guys」のリリック後半にある一節では、2013年に実現した初来日ライブのことを「これまでのなかで最高の出来事だった」と歌ったパートがあり、当時デビュー・アルバム『The 1975』がリリースされる1ヶ月前のタイミングのなか、欧米圏外で行なった初めてのライブでもあることから、現在でもバンド内で印象に残っていることが伺えます。さらに、今年2月から公開されている特設サイト「マインドシャワー」にて一部収録曲のステムデータやアートワークが配布されているほか、Apple Musicから『NOACF』の背景に迫る約13分のドキュメンタリー映像も公開されています。あわせてぜひチェックを。



藤井 風 / キリがないから

岡山県里庄町出身、東京を拠点に活動しているミュージシャン、藤井 風。05/20(Wed)にリリースされた話題のデビュー・アルバム『HELP EVER HURT NEVER』の収録曲が、チャートにランクインされました。

2010年の元日からYouTubeにアップしていた数多くのピアノ・カバーや弾き語り動画などで大きな注目を集め、高校卒業後より音楽活動を本格化させていった、藤井 風。2019年から活動拠点を東京に移すと、当時オリジナル楽曲が1曲もリリースされていなかったにもかかわらず、初の東阪ワンマン・ライブが全公演ソールドアウトしたほか、同年11月に開催された「LINE CUBE SHIBUYA」でのワンマン ・ライブも即日完売を記録。後者のライブ翌日にはデビュー・シングルとして、誰しものなかに存在するハイヤーセルフを探すことを歌った「何なんw」を配信リリースし、ニューヨークで全編撮影されたMVも話題に。

その後、カバー曲を含む全4曲が収録された2枚のEP『何なんw』『もうええわ』をそれぞれ発表し、人生における全ての重荷の放棄を歌った「もうええわ」、やさしさへのラブソング優しさ」、過去や未来に執着せず今に集中することを表現した「キリがないから」などのリード・シングルをリリース。加えて、YouTubeをきっかけに世界各地で活躍している新人アーティストを紹介するキャンペーン「Artist On The Rise」に、Tones and I(トーンズ・アンド・アイ)、Maggie Rogers(マギー・ロジャース)、DaBaby(ダベイビー)などに続いて、日本人アーティストとして初めて選出されたこともアナウンスされました。

本デビュー・アルバム『HELP EVER HURT NEVER』は、これまでリリースした4曲のリード・シングルを筆頭に、全曲全詞を藤井が手がけたという全11曲が収録。サウンド・プロデュース / アレンジャーとして、2019年5月ごろからレーベル〈Tokyo Recordings〉に所属するプロデューサー・Yaffle(小島裕規)と共同制作を進めていたほか、大月文太(Gt)、小林修己(Ba)、勝矢匠(Wood Ba)、裕木レオン(Dr)、福岡 高次(Per)、小寺里奈(Strings)などが参加しており、全曲のミックスをエンジニア・小森雅仁が担当しています。

そして、05/30(Sat)27時からニッポン放送で「藤井 風のオールナイトニッポン0(ZERO)」が決定。これで3回目のパーソナリティを務めることになり、生放送内では「NAN-NAN SHOW@ANN」と題して本来ライブで披露するはずだった一部セットリストを演奏するほか、恒例となった「藤井 風オールナイトニッポンメドレー」「喫茶 Kaze」などに加えて、リスナーからの音楽に関する疑問に答えていく新コーナー「リモート音楽講座」が予定されている模様。気になるリスナーは、あわせてぜひチェックを。



Moses Sumney / Bless Me

米カリフォルニア州サンバーナーディーノ出身、英ノースカロライナ州アッシュビルを拠点に活動しているシンガーソングライター・Moses Sumney(モーゼス・サムニー)。05/15(Fri)にリリースされた待望のニュー・アルバム『græ』の収録曲が、チャートにランクインされました。

オリジナル・アルバムとしては、2017年にリリースされたデビュー・アルバム『Aromanticism』以来となる、およそ2年8ヶ月ぶりの新作に。同アルバムは、2017年のベスト・アルバムの1作品として世界中で絶賛されたのち、人気テレビシリーズ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」「親愛なる白人様」(Netflix)、「ウエストワールド」「インセキュア」(HBO)などのサウンドトラックとして一部収録曲が登場したことでも話題に。2018年には、2つのEP『Make Out in My Car: Chameleon Suite』『Black in Deep Red, 2014』をリリースしたほか、同年に行なった2度の来日ライブでは、キリスト品川教会グローリアチャペルでのソロ・セット、渋谷WWWでのバンド・セットともに圧巻のパフォーマンスを披露しました。

また同時期から英ノースカロライナ州アッシュビルに活動拠点を移し、多くの楽曲制作を続けるなか、2019年には、James Blake(ジェイムス・ブレイク)、Bon Iver(ボニー・ベア)、The Cinematic Orchestra(ザ・シネマティック・オーケストラ)などのアルバムに一部参加。そのあいだリード・シングル「Virile」「Polly」「Me in 20 Years」「Cut Me」「Bless Me」や、今年2月に先行配信された本ニュー・アルバム『græ』の前半12曲に多くの注目が集まるなか、今回いよいよ後半8曲を含めた全20曲の全貌が明らかとなりました(2枚組となった背景について、インタビューによればアルバムのトータルタイムが長くなってしまったことが理由とのこと)。

本ニュー・アルバム『græ』には、Daniel Lopatin(ダニエル・ロパティン)、James Blake(ジェイムス・ブレイク)、Thundercat(サンダーキャット)、FKJ、Matthew Otto(マット・オットー)、Brandon Coleman(ブランドン・コールマン)、Jamire Williams(ジャマイア・ウィリアムス)、Rob Moose(ロブ・ムース)などを含む多くのゲストが参加しており、アッシュビルの自宅で全作詞作曲を手がけたほか、ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドン、モントリオールなどで他プロデューサーとのセッションを行なった模様。黒と白が混ざりあった「グレー」をコンセプトとするアルバム・タイトル『græ』について、自身を構成する多層的な要素を指しているほか、インディー・フォーク、ジャズ、クラシック、アート・ロック、ゴスペルなどの多様な音楽性が、壮大なグラデーションとなって描かれていることを感じさせます。未聴のリスナーはぜひチェックを。



TAMTAM / Summer Ghost

東京都を拠点に活動するフィール・グッドなバンド、TAMTAM。05/20(Wed)にリリースされた注目のニュー・アルバム『We Are the Sun!』の収録曲が、チャートにランクインされました。

オリジナル・アルバムとしては、2018年6月にリリースされた『Modernluv』以来となる、およそ2年ぶりの新作に。2019年にはバンド初となるカナダ3都市4公演を巡るツアーを成功させたほか、その後に当時7年ぶり2度目となる『FUJI ROCK FESTIVAL』出演を果たすことに。またボーカルを務める、Kuro(Vo、Tp、Syn)のソロ活動が本格化し、自身のソロ・アルバム『JUST SAYING HI』をリリースし、ODOLA、TONAN、The SKAMOTTS、GOODMOODGOKU、などの楽曲にゲスト参加。今年4月にはキーボードを務めたともみんが脱退し、1年間サポートメンバーを担当した石垣陽菜がベースに正式加入することを発表しており、4人新体制となって初のアルバムとして先日いよいよリリースされました。

本ニュー・アルバム『We Are the Sun!』には、鎮座DOPENESSをフィーチャーしたリード・シングル「Worksong!」を含む全10曲が収録されており、サポートメンバーとして、ryo sugimoto(Key)、Yuta “Deeply” Fukai(Gt)、堀京太郎(Tp)に加えて、ともみん(Ba)も一部参加。ジャケット・アートワークは、前作『Modernluv』に続いてデザイナー・Yoshitaka Kawaidaが制作しており、新しいアーティスト写真はカメラマン・Cho Ongoが撮影しています。また先日から、アルバム未収録アレンジとして「Worksong!(Home Edition)」が公開されており、各メンバーが自宅でテレワーク収録したものを、高橋アフィが打ち込み / ミックス / マスタリング / 編集などを手がけたセッション動画となっています。

さらに、OTOTOY「Save Our Place」にて3ヶ月限定で配信されているコンピレーションアルバム『Life is CIRCUS』に、アルバム未収録曲「Quarantine Routine」が参加。アルバム・リリース当日からは、映像作家・TAKUYA KATSUMIが制作したMV「Beautiful Bad Dream(Home Edition)」も公開されており、本ニュー・アルバムとは異なるアレンジ(配信イベント「CROSSING CARNIVAL’20 -online edition-」出演に際して制作したもの)をぜひ聴き比べてみては。


以上、今週のピックアップでした。

Text by Ishikawa Takato

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