【トップ100・チャート】今週のピックアップ(07/05付)、Kanye West, Travis Scott / CHAI / HAIM / 黒田卓也

毎日更新されるTYPICAオリジナル楽曲チャート。チャートにランクインされた楽曲のなかから、特に注目の楽曲をまとめてピックアップします。



Kanye West, Travis Scott / Wash Us In The Blood

先日プレビュー公開した、Kid Cudi(キッド・カディ)とのコラボ・ユニット、Kids See Ghosts(キッズ・シー・ゴースト)のTVアニメや、GAPと自身のブランド「YEEZY」によるコラボ・ライン「YEEZY Gap」の販売をアナウンスするなど、さまざまなアクションが続いている、Kanye West(カニエ・ウェスト)。公開延期することなく、06/30(Tue)にある意味サプライズ・リリースされたニュー・シングルが、チャートにランクインされました。

近日中にリリースが期待されている、映像作家・Arthur Jafa(アーサー・ジャファ)とのコラボ・アルバム『God’s Country』からのリード・シングルとして公開された、本ニュー・シングル「Wash Us In The Blood」。ゲストには、キャリア初期の時点から何度もフックアップしている相手である、Travis Scott(トラヴィス・スコット)をフィーチャーし、昨年からアナウンスしているリミックス・アルバム『Jesus Is King Part Ⅱ』を共同制作していることでも知られている、Dr. Dre(ドクター・ドレ)がミックスを担当しています。

本ニュー・シングル「Wash Us In The Blood」のリリックでは、システム化された人種主義への抗議運動「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター / 黒人の命を軽んじるな )」(以下、BLM)で主張している、歴史的に根深く残り続ける制度的差別への批判に加えて、フェイクニュースで印象操作しつづけるメディア、ステレオタイプな人物像を求め続けるレーベルなどにも言及。アフリカ音楽のリズムとインダストリアルなトラップを組み合わせたようなビートで、天から降ってくる雨(イエス・キリストの血)によって人々が救われることを祈るように、バースやコーラスで繰り返し「Wash Us In The Blood」とラップしています。

先述した、Arthur Jafa(アーサー・ジャファ)が手がけたMVには、BLMの抗議デモの模様、新型コロナウィルスや不当な暴力に苦しむ人々、人気ゲームソフト「グランド・セフト・オートV」のプレイ・シーン、白人の元警官らによって今年射殺されてしまった、Ahmaud Arbery(アフマド・アーベリー)氏、Breonna Taylor(ブリオナ・テイラー)氏の生前の姿などが映し出されています(カニエは、2人の遺族に事件の裁判費用を含む多額のサポートを送っている)。またラストは、自身が率いる「Sunday Service Choir」のリハーサルを、娘(ノース・ウェスト)と一緒に過ごしている様子で締められています。

そして先日リリースされたコラボ・シングル、Ty Dolla Sign(タイ・ダラー・サイン)「Ego Death(feat.Kanye West, FKA twigs & Skrillex)」に参加したことも大きな話題に。Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)とのコラボにも期待が高まるなか、今後の動きにさらなる注目が集まります。



CHAI / keep on rocking

国内外で幅広い人気を集めるニュー・エキサイト・オンナバンド、CHAI。07/03(Fri)にリリースされた注目のニュー・シングルが、チャートにランクインされました。

2019年にリリースされた2ndアルバム『PUNK』が、人気ウェブマガジン「Pitchfork」による「The 50 Best Albums of 2019」に選ばれたことを始め、さまざまな音楽メディアでも高評価を獲得したほか、欧米各国を巡るワールド・ツアーも成功させるなど、グラミー賞受賞を目標にさらなる快進撃を続けている、CHAI。なかでも、米テキサス州オースティンで開催されるカンファレンス「SXSW」への3年連続出演を皮切りに、先述した「Pitchfork」主催の「Pitchfork Music Festival」に日本人唯一の出演を果たしたほか、NPR(National Public Radio)の人気企画「Tiny Desk Concerts」でもパフォーマンスを披露するなど、ワールドワイドな存在感を発揮していました。

そんななか、今年に入ってリリースされた「NO MORE CAKE」「Ready Cheeky Pretty」に次ぐ、第3弾ニュー・シングルとなった本楽曲。07/03(Fri)から全国各地で順次上映される映画「のぼる小寺さん」主題歌として書き下ろしたものであり、リリース当日には、インスタグラムを通じて本楽曲のアコースティック・バージョンも披露されました。ジャケット・アートワークは、かねてからイラストが趣味である、ユウキ(Ba, Cho)による描き下ろし作品となっており、リリック・ビデオでは、ユウキ本人の手によってリペインティングされている光景が映し出されています。なお、各メンバーの自宅で撮影されたMV「Ready Cheeky Pretty」では、ユウキが初監督を努めています。

そして、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて開催中止を発表した「Glastonbury Festival 2020」に本来出演する予定だったことから、先日配信されたバーチャル・フェス「William’s Green 2020」(会場内の1ステージをオンラインで再現したもの)にコメント出演ならびにMVがオンエアされました。あわせてぜひチェックを。



HAIM / Gasoline

米カリフォルニア州ロサンゼルス出身のバンド、HAIM(ハイム)。06/26(Fri)にリリースされた待望のニュー・アルバム『Women in Music Pt. III』の収録曲が、チャートにランクインされました。

オリジナル・アルバムとしては、2017年7月にリリースされた2ndアルバム『Something to Tell You』以来となる、およそ3年ぶりの新作に。2019年には、ギターボーカルを務める次女・Danielle Haim(ダニエル・ハイム)が、Vampire Weekend(ヴァンパイア・ウィークエンド)『Father of the Bride』にボーカルとして広く参加したほか、Clairo(クライロ)『Immunity』の一部収録曲にドラマーとして参加。バンドとしては、今年2月に公開された、Thundercat(サンダーキャット)「Dragonball Durag」のMVで、3姉妹そろってカメオ出演したことも話題となりました。

またコロナウィルス感染拡大の影響を受けて、各地のデリを巡る全米ツアーならびに、本ニュー・アルバム『Women in Music Pt. III』リリースの一時延期を発表。その間、NPRによる人気ライブ・シリーズの自宅版「Tiny Desk (Home) Concerts」に出演したほか、アルバム・ジャケットの撮影地となっているデリ「Canter’s Deli」(3姉妹が初めてライブを行なった場所)からライブ・ショーを配信。さらにファンたちと一緒に楽曲にあわせて踊る、オンライン・ダンスレッスンを複数配信するなか、世界各地で拡がり続ける「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター / 黒人の命を軽んじるな )」について、ロサンゼルス市警署長の解任要求、抗議デモの参加寄付を呼びかけるなど、さまざまなアクションが続いていました。

本作のアルバム・タイトル『Women in Music Pt. III』について、Apple Musicに記載されたメモによれば「音楽業界にいる女性としての意見を問うことをやめてもらうための、遊び心あふれる”招待状”」とコメント。各収録曲のリリックでは、音楽業界のジェンダー・ギャップ改善を求めるメッセージのほか、3姉妹それぞれが抱えている、孤独、悲しみ、うつ病などのメンタルヘルスと向き合う様子も書かれており、なかでもアルバム・プロデュースを務めた1人であり、次女・Danielle Haim(ダニエル・ハイム)のパートナーでもある、Ariel Rechtshaid(アリエル・レヒトシェイド)が精巣ガンと闘病していた経験なども、本ニュー・アルバムに深く影響を及ぼしている模様です。

そして現在公開されているMV(コロナ禍前に撮影された)「Summer Girl」「Now I’m In It」「Hallelujah」「The Steps」のディレクションは、映画監督のポール・トーマス・アンダーソンが担当(3姉妹の母親は小学校の先生であり、監督の小学時代を担任したほか、現在まで家族ぐるみの親交が続いていることでも知られている)。あわせてぜひチェックを。



黒田卓也 / Do No Why – YonYon & MELRAW Rework

兵庫県出身、ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活躍しているトランペッター、黒田卓也。08/05(Wed)にリリースされる待望のニュー・アルバム『Fly Moon Die Soon』のリード・シングルが、チャートにランクインされました。

オリジナル・アルバムとしては、2016年9月にリリースされたアルバム『Zigzagger』以来となる、およそ4年ぶりの新作に。その間、ニューヨークで活動する日本人ミュージシャンである、大林武司(Key)、中村恭士(Ba)、小川慶太(Dr, Per)、馬場智章(Ts)で構成されたグループ「J-Squad」として、現在まで2枚のアルバム『J-Squad』(2016年)、『J-Squad II』(2018年)をリリース。一方で、西口明宏(Ts, Ss)、宮川純(Key)、中林薫平(Ba)、柴田亮(Dr)とのプロジェクト「メガプテラス」としても、デビュー・アルバム『フル・スロットル』(2017年)をリリースするなど、多方面で活動。

ソロとしては、ニュースクール大学在学時から交流が続いている、Jose James(ホセ・ジェイムズ)との共作、DJ Premier(DJ・プレミア)とのライブ・セッション、cero「街の報せ Rework 黒田卓也」でのコラボ、MISIAのライブ・サポートなどを幅広く展開。2018年から、自身がホストを務める主宰イベント「aTak」を定期開催するなど、ボーダレスな活躍が続いています。

そして「絶対的な自然と人間の偉大なる卑猥さの妙」をテーマに、ビートを自らプログラミングし、生演奏との融合を実現したという、本ニュー・アルバム『Fly Moon Die Soon』。クレジットには「J-Squad」のメンバーを筆頭に、Corey King(Tb)、Rashaan Carter(Ba)、Solomon Dorsey(Ba)、Craig Hill(Ts)などを含む、長年親交の深いミュージシャンが多く参加。収録曲には、Ohio Players(オハイオ・プレイヤーズ)「Sweet Sticky Thing」、Herbie Hancock(ハービー・ハンコック)「Tell Me A Bedtime Story」のカバーのほか、YonYon、MELRAWとの初コラボとなった「Do No Why (YonYon & MELRAW Rework)」が、日本盤ボーナストラックとしてコンパイルされています。

そんな初コラボの背景について、先日公開されたインタビューにて、YonYonと黒田ともに初対面だったことや「Do No Why」の原曲に込められたテーマ、コラボした感触、お互いのルーツの共通点などが語られており、あわせてぜひチェックを。


以上、今週のピックアップでした。

Text by Ishikawa Takato

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