【トップ100・チャート】今週のピックアップ(07/12付)、Pop Smoke / PUNPEE / Sufjan Stevens / Mom

毎日更新されるTYPICAオリジナル楽曲チャート。チャートにランクインされた楽曲のなかから、特に注目の楽曲をまとめてピックアップします。



Pop Smoke / The Woo (feat. 50 Cent & Roddy Ricch)

今年、02/19(Wed)に発生した銃撃事件で死去してしまった、米ニューヨーク州ブルックリン出身のラッパー、Pop Smoke(ポップ・スモーク)。07/03(Fri)にリリースされた、遺作となるデビュー・アルバム『Shoot for the Stars, Aim for the Moon』の収録曲が、チャートにランクインされました。

シカゴ発のドリル・ミュージックと、その影響を受けるUKドリルのテイストが逆輸入され、ブルックリンで生まれた新たなサブジャンル「ブルックリン・ドリル」の筆頭格として注目を集めていたラッパー、Pop Smoke(ポップ・スモーク)。独自のシーンが形成されていたブルックリンから、2019年7月に発表した1stミックステープ『Meet the Woo』の収録曲「Welcome To The Party」がバイラルヒットを記録し、Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)、Skepta(スケプタ)が参加したリミックスもリリースされるなど、キャリア1年目にして大きな注目を集めることに。

ブルックリン・ドリルの特徴である、ギャングの抗争や貧困問題などを綴ったリアルなリリックに加えて、ほとんどの楽曲を手がけている、イースト・ロンドン出身のプロデューサー、808Melo(エイトオーエイトメロ)との共作で独自のスタイルを確立すると、同年末に公開された、Travis Scott(トラヴィス・スコット)率いるレーベル〈Cactus Jack〉のコンピレーション・アルバム『JACKBOYS』へのゲスト参加が話題に。今年2月に2ndミックステープ『Meet the Woo 2』をリリースするも、12日後に発生した銃撃事件によってわずか20歳で命を落としてしまい、突然の別れに国内外の多くのファンから悲しみが寄せられました(07/10付で事件の容疑者5人が逮捕)。

本デビュー・アルバム『Shoot for the Stars, Aim for the Moon』は、彼にとって最大のリスペクトを送っていた存在である、50 Cent(50セント)がエグゼクティブ・プロデューサーを担当。インスタグラムを通じてオファーをかけたという、Quavo(クエイヴォ)、Lil Baby(リル・ベイビー )、DaBaby(ダベイビー)、Swae Lee(スウェイ・リー)、Future(フューチャー)、Roddy Ricch(ロディ・リッチ)、Tyga(タイガ)などを含むビッグネームが多数参加しており、生前に収録されていた未発表音源をもとに制作された模様です。

リリース直前には、Virgil Abloh(ヴァージル・アブロー)が制作したジャケット・アートワークが大量の批判を受けたことで、複数の候補から現在のデザインに差し替える騒動が起こったほか、困難状況下にある若者を支援するプラットフォームの確立のために、彼の遺族が(生前に設立していたという)非営利財団「Shoot for the Stars Foundation」を発表。未発表曲「Paranoia」のリリックを巡って、Pusha T(プシャ・T)、Young Thug(ヤング・サグ)とのあいだに発生しているビーフの行方も気になるなか、未聴のリスナーはぜひチェックを。



PUNPEE / Wonder Wall feat. 5lack

あなたの親愛なる隣人の凡人、東京都板橋区のダメ兄貴こと、PUNPEE。07/01(Tue)にリリースされた待望のニュー・EP『The Sofakingdom』の収録曲が、チャートにランクインされました。

オリジナルとしては、2017年にリリースされた1stソロ・アルバム『MODERN TIMES』以来となる、およそ2年9ヶ月ぶりの新作に。その後、BIM「BUDDY」(2018年)、Qiezi Mabo「Qiezi Mabo Forever」(2018年)、ORIGINAL LOVE「グッディガール」(2019年)、星野源「さらしもの」(2019年)のほか、盟友であるラッパー・RAU DEFがリリースしたアルバム『DELICACY』(2018年)、『ESCALATE III』(2019年)などに多数参加。なかでも、2019年に生放送されたNHK『おげんさんといっしょ』にて、バーテンダー役として披露したパフォーマンスも大きな話題となりました。

また、2018年5月に開催されたワンマン・ライブの模様を収録した映像作品「PUNPEE Presents Seasons Greetings’18」を翌年に発表したほか、今年3月末に惜しくも終了してしまったラジオ番組、J-WAVE『SOFA KING FRIDAY』(毎週金曜 深夜25時)でパーソナリティを務めるなど、さまざまな活動が続いていました。

本来であれば、今年5月から開催予定だったZeppワンマン・ツアー「Seasons Greetings’20 ~Sofa Kingdom Tour~」(2021年に延期)にあわせて、ゆったりしたアンソロジー的作品として当初制作していたという、本ニュー・EP『The Sofakingdom』。先日公開されたインタビューによれば、今年1-2月ごろからEP制作に着手し、リリックの内容は前作『MODERN TIMES』の延長線上を意識するなか、新型コロナウィルス感染拡大にともなう自粛期間中に感じていた複雑な心情がコンセプトにも影響したことから「結果的にそういったことに食らってしまった作品みたいに見えちゃうかもしれないなぁ」とコメント。ミキシングは、渡辺省二郎が担当しているほか、ジャケット・アートワークは、フランス出身のアーティスト・Stéphane Oiry(ステファン・オワリー)が手がけており、前作『MODERN TIMES』のジャケットにも登場し、実家で25年ほど生きているという亀のイラストもあわせて描かれています。

そしてリリース当日には、MV「夢追人 feat. KREVA」のほか、収録曲「Wonder Wall」でコラボしている、5lackとのインスタライブの模様もアーカイブで公開されており、あわせてぜひチェックを。



Sufjan Stevens / America

米ミシガン州デトロイト出身のシンガーソングライター / マルチプレイヤー、Sufjan Stevens(スフィアン・スティーヴンス)。09/25(Fri)にリリースされる注目のニュー・アルバム『The Ascension』のリード・シングルが、チャートにランクインされました。

ソロ・アルバムとしては、2015年にリリースされた7thアルバム『Carrie & Lowell』に次ぐ、およそ8枚目となる新作に。その後、Nico Muhly(ニコ・ミューリー)からの呼びかけで集まった、Bryce Dessner(ブライス・デスナー)、James McAlister(ジェームス・マカリスター)とともに、2017年にコラボ・アルバム『Planetarium』をリリース。同年に上映された、ルカ・グァダニーノ監督作「君の名前で僕を呼んで」に書き下ろした主題歌「Mystery of Love」が「第90回アカデミー賞歌曲賞」にノミネートされたことも話題に。

2019年には、Justin Peck(ジャスティン・ペック)が振付したバレエ作品のために、クラシックピアニスト・Timo Andres(ティモ・アンドレス)とともに作曲したコラボ・アルバム『The Decalogue』を発表したほか、毎年6月に世界各地で開催される「LGBT Pride Month」を祝福するシングル「Love Yourself / With My Whole Heart」をリリース。さらに今年3月には、継父・Lowell Brams(ローウェル・ブラムス)とコラボしたニューエイジ・アルバム『Aporia』を発表するなど、さまざまな共作が続いていました。

ニュー・アルバム『The Ascension』のリード・シングルとして、アメリカ独立記念日の前日にあたる、07/03(Fri)にリリースされた「America」。プレスリリースによれば、先日公開されたアルバム未収録曲「My Rajneesh」とともに、前作『Carrie & Lowell』の制作時点で書かれていた楽曲とのこと。ストックされたまま6年近く経過するなか、新型コロナウィルスと「Black Lives Matter」ムーブメントが拡大する最中、アメリカ文化が抱える病に対する抗議の歌としてリリースした模様です。

そしてニュー・アルバムに先駆けて、07/31(Fri)には先述した「My Rajneesh」をカップリングとする12インチ・アナログがリリース予定。あわせてぜひチェックを。



Mom / 胎内回帰

埼玉県出身のシンガーソングライター / トラックメイカー、Mom。07/08(Wed)にリリースされた注目のニュー・アルバム『21st Century Cultboi Ride a Sk8board』の収録曲が、チャートにランクインされました。

オリジナル・アルバムとしては、2019年5月にリリースした2ndアルバム『Detox』に次ぐ、およそ1年ぶりの新作に。同年には、キャリア初となる自主企画シリーズ「look forward to science」を3本連続で開催したほか、本ニュー・アルバム『21st Century Cultboi Ride a Sk8board』の制作途中に、弾き語りで突発的に制作したというアシッドフォーク・アルバム『赤羽ピンクムーン』を、年末にサプライズ・リリース。また現在、新型コロナウィルス感染拡大の影響でさまざまな配信イベントへの出演が続いてるほか、上映の無期限延期がアナウンスされている、森平周・監督作「色の街」の主題歌に「プライベートビーチソング」、挿入歌に「フリークストーキョー」が起用されており、着実に活躍の幅が広がっています。

本ニュー・アルバム『21st Century Cultboi Ride a Sk8board』には、リード・シングル「マスク」「ハッピーニュースペーパー」「カルトボーイ」「ゴーストワーク」「アンチタイムトラベル」を含む、全13曲が収録されたコンセプト・アルバムに。世界の終末を舞台にしたSF的世界観について、先日公開されたインタビューによれば、藤子不二雄・著『藤子不二雄異色短編集』(1989年)、筒井康隆・著『笑うな』(1980年)などで描かれているテイストから影響を受けたことや、ディストピアと化した近未来で人間らしさを持ち続ける存在としての「カルトボーイ」、スケートボードを始めて感じたことなど、人間社会と時代の空気感をメタ的に捉えた作品となっています。

そして先日から、MV「マスク」「ハッピーニュースペーパー」「カルトボーイ」「ゴーストワーク」「アンチタイムトラベル」「胎内回帰」が公開されているほか「ニートtokyo」 出演時のインタビュー映像も複数アップされています。メジャー・デビューを果たした今後の活動にも、さらなる注目が集まります。


以上、今週のピックアップでした。

Text by Ishikawa Takato

Link:
TYPICA TOP100
TYPICA TOP100(グローバル)